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餌やり禁止だけでは問題は解決しないという事を一緒に考えましょう(^^)/ [意見]

全ての猫好きさん、猫が嫌いさんにお伝えします。

活動を始めて15年、餌やり禁止の張り紙や看板はいつもどこかに有ります。
この15年その事で奔走しましたが一向に変わらないので逆の発想、「餌はあげて下さい」と言う方向でチラシを作りました。
また、でたらめな餌やりはしないようにというルール違反も指摘しながら、「正しいエサやりの仕方」のチラシも同時に作りました。

みなさんもすでにご存知のTNR・TNTAの普及にもここ数年は特に力を入れてきました。
啓発用のチラシと共にエコバッグも作って捕獲や保護をする方に差し上げたり、ネットショップの方でも販売したりとしています。

それでも市民の相談は猫嫌いさんからの苦情よりも「餌をやるな、猫はどこかへ行く」と言う行政からの指導とそれと同じようなご近所からの「餌やり絶対禁止」と言うモラハラ的な事のお困り相談がほぼ100%です。私たちがボランティア団体なので安心して言ってくるのでしょうが、特に影響力のあるNPOとか権限のある団体ではないですので、お話を伺ってできるだけ解決できるようにアドバイスするにとどまっています。
しかし、市民の皆さんがどれだけその事で心を痛めているのか、これは地元だけでなく全国的な事なのではないかと考えられます。ツイッターでも多くの似たようなつぶやきを見かける事が有ります。
今回の記事ではこの問題をまとめてみようと思います。

実はあまりにも多い相談なので印象的な方を選んで4名ほどにこの問題についてお聞きし、一つの意見として文章で送ってもらいました。その中の一人の市民の方からの意見書の内容が良くまとまっていましたのでその方の許可を取って、抜粋しながらここにまとめさせていただきたいと思います。
以下は意見の抜粋「」を付けた部分と私の説明です。

      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「そもそも「野良猫への餌やり禁止」を言い始めたのは京都や東京などの一部の地域だったはずなのに、いつのまにか全国的にそういった風潮になり、長野市の一軒家が立ち並ぶ団地にまで厳しい内容の回覧板が回ってくるようになりました。
 それでも餌やりをやめなかったのは、”餌をやらなければ野良猫はどこかへいく”という根拠があまりにも不明確だったことと、母が体験した戦時中の食糧難でした。・・・・・」

私が活動を始める前もこの事でご近所トラブルが絶えずに困っている方たちの両方の意見をよく耳にしました。ですが、そこは当たり前、仕方ないのかと思っていました。東京辺りでは糞尿の問題や置き餌、まき餌の問題もテレビなどで紹介されていたので、東京は大変だなぁ~と他人事のように思えたのですが、いざこの活動にかかわってみたら、その事が一番重要でもあると分かりました。
「さくら一家の物語」以前ブログでも連載して紹介したことが有ります。お世話をしてTNTAを最初に始めたことをストーリーにしたものです。その時先輩のボランティアさんからも特にそのためのアドバイスは無かったので、常識の範囲でやるしか無かったように思います。
ところが、この方のように、電話やメールの相談は同じ内容が一番多い事が分かりました。
餌をやりたい猫好きさん、糞尿の問題等が有って迷惑しているという猫嫌いさん、どちらの言い分も分かるので、しかもご近所の皆さんは結構親しくしているので困りました。

「こちら肉球クラブ」は里親募集専門の団体と言う事で看板ではTNTAを前面に出していますが、この苦情を何とか断ち切るにはTNRを同時にやって、一代限りの命を見守る方向で、猫好きさん、猫嫌いさんを説得するしかないという結論に達しました。

今コロナ禍で、中国の上海の人たちが食べ物が無くてこの時代に飢えるという事が大変な問題になっています。同じく戦争に巻き込まれたウクライナの国民も同じです。日本では貧困家庭の食料問題も大きく取り上げられています。私達動物にとって食べ物が無いという事がどれだけ恐ろしい事か、飢えるという事が即死につながっているという危機感、これは本当に恐怖でしかないのです。上記の方のお母さんが戦争で体験した飢えはその事を言っています。
猫達ペットの家猫はいつでも好きなだけご飯をもらっていますが、遺棄されたり、やむを得ず増えてしまって不本意ながらのら猫になった子達はこの問題に毎日立ち向かっていかなければならないのです。
過酷な外の環境の中、必死で食べるものを探している猫に手を差し伸べる事は間違ってはいません、この方の言うようにそこで餌をやらなければ他へ行くという考えは安易です。他でも同じことは起こります。追い出されてその猫たちの行く末はどうなるのでしょうか?餌をやる方は、隠れてこっそりやる方もいます。その結果余計なトラブルに発展する事にもなります。
先ずは、環境を整える事、不妊化手術をして1代の命にする。その命を自然に全うできるようにする。こういう指導こそが行政としても、必要な事なのではないでしょうか。どちらか一方の主張に沿うのではなく、両方にとっての良い解決を導くのが一番の解決策だと考えます。

さらに、この方も言っています。
「昭和の時代にも、役目を終えて(ネズミ捕り)捨てられた野良猫はいたはずなのですが、今のようなご近所トラブルにならなかったのは、みんな(猫の)歴史や事情を知っていたからだと思います。
それに何といっても、昔は人情がありました。
もっとも、昔から猫嫌いもいて、そういう人達の目が厳しくなったのは、(いつ頃だったかはっきり覚えていませんが)保健所のものと思われる『野良猫の餌やり』についての注意喚起があった頃からです。『動物愛護法』ができた現在なら、野良猫への餌やりNGというメッセージは、つまり餓死を助長させる内容だとして反論できるかもしれませんが、当時はそれができません。
ただ、その警告文の中にひとつ光が見えたのは、『これ以上野良猫を増やさないよう避妊去勢をしてください』という餌やりの条件があったこと。それで猫を餓死させずに済むのならと私は身銭を切ってそれに従うことにしたのです。」


確かに、私の子供のころ50年以上前ですが本当にあちこちにのら猫はいました。
捨てられたり、畑や野原で生まれた仔達が沢山いました。皆どうしていたのだろうか?と今思うとぞっとしますが、共存していたことは確かです。
大人が野良猫を認めていた時代、子供はそれを可愛がっていた時代、昭和の良き時代は猫にとっては生きるのが大変でものんびりしていた時代でもあったのではなかったかと思いました。

この方の住む地区では、「のら猫に餌をやらないで」と言う回覧が回ってきたと言います。
行政への問い合わせでは「そもそも長野県内に『野良猫への餌やり禁止』という条例は有りませんとのことでホッとしたそうですが、『自治会が禁止と言うなら従って下さい、猫は分散して他へ行くだけですから』と言われてしまったようです。
そのため、モラハラが始まりました。畑で猫が吐いたものを高齢のお母さんに片付けろと命じてきたり、外猫で手術もしてTNRをしている猫を家の中に入れて飼うよう言ってきたり、庭にいる猫達を大声で怒鳴り恐怖心を植え付けたりしたそうです。また一番つらかったという事では『趣味で楽しんでいるんじゃないか』と他の猫嫌いの方と結託して機関銃のごとく言ってきた事だそうです。この事と全く同じことは他の市の親子の方からも相談が有りました。そういう人の考えのあまりにも愚かな事に呆れました。そして嘆かわしかった。言われたその方たちは怒鳴られ、嫌がらせをされ、精神的に参ってしまわれています。お薬をもらわないと眠れなくなったと嘆いていました。今までに同じ相談は数十件ほど有ります。
条例が存在しない事を味方にいくらモラハラを受けても皆さんはめげずにご飯をあげ続けていますが、どうしても『餌をやるな』と言う事から振出しに戻ってしまいお手上げ状態に陥るのです。

まず私からは「猫に餌をやっています者より」・「正しい餌のやり方」「間違った餌のやり方」「TNRをやっています」「餌やり禁止では問題は解決しません」と言うチラシや資料をプリントし郵送、またはデータで送っています。
もし何か言ってきたら私から説明します。猫の保護活動をしている者としても責任をもってお話しします。と言う事を伝えています。
そして一番良かったのは、昨年2021年6月の市の広報にTNRや地域猫の事が掲載された事を伝えました。保健所に新しい担当者の方が入られて流れが少し変わったのだろうと思いました。その流れが良い方向に行けばだいぶ変わります。佐久市も上田市もそれで変わったと聞いています。

相談者の方も言っていました。「広報」のおかげでご近所からのハラスメントはぱたりとなくなりました。やはり行政の力と言うのはすごいです。ただし、向うは納得しているわけではないので和解はしていません」とのことでした。

私としては松本の事件の事で県の保健所に意見文を送ったのですが、そこにも「私達市民が頼りにできるのは保健所や県警の担当部署の行政機関しかありません、それは権限がある所だからです。市民は皆頼りにしています。」と言う事を書いておきました。

地域猫活動は一般の市民とその方の住む自治会、ボランティアと保健所の3者が協力して初めて成り立ちます。自治会への橋渡しも行政が入ってくれないと成り立ちません、相談窓口も私達ボランティアのみでは、その相談をどこへ持って行っていいのかという問題が出てきます。
窓口と、仲介の担当をぜひ保健所に作って頂きたいのです。

意見書の中には印象に残る事がかかれていました。
「『動物愛護法』が施行されて法律上動物も人と同じ扱いなのに、今のままではその機能を果たせないのではないかと思われます。猫との共生を嫌う人にはそれなりの言い分があるとは思いますし、クレームは先に言った意見が尊重される傾向にあります。しかし行政までもがそれを”正当”としてきたことにはもう取り返しがつきません。」

昨年から今年にかけて問題になった松本の事件は、まさにこの事!がすべての悪だと思われました。
犬も猫もまた他のペットに関しても愛護動物に関しては全て同じです。
権限のある機関がしっかりしてもらわねば市民はどうにもなりません

そして、意見書の最後の文にはこう結んでいました。

「『動物愛護法』が成立したことにより、動物も人ももっと幸せに生きていけるような環境にシフトが変わっていくと私は信じていますが・・・そのためにも、保健所あるいは行政がまず生まれ変わることを、心より希望いたします。」

全くその通りです。私が同じことを言うと「行政批判している」としか言われず、協力したくてもできないような雰囲気に追いやられます。
また、水面下で動こうとすると「結局は餌をやりたいんでしょ」と言われてしまいます。
どうしても誤解が生じたり偏見や排除の傾向に行ってしまう事も有ります。

市民の生の声を本気で聞いてこの問題が無くなる日が来ることを、心から願います。
そして、私の活動の集大成として実現していきたいと思います。

市民の生の声を書いてくださった4名の皆さん、心から感謝します。
皆さんの真剣な意見は、必ず市長に届けたいと思っています。


意見を書いてくださった方のお世話しています。ローズちゃんをご紹介して締めくくりたいと思います

ローズちゃん・Nさんのお世話してる子.JPG

ローズちゃん・Nさんのお世話している子3.jpg

2月22日に撮影されたもので、翌日送って来ました。
「1月はずっと寒くて、少しでも早く助けてあげたい気持ちはあったのですがその都度抵抗して寒い中逃げてしまうので、とりあえず落ち着く寝床と、食事や水、牛乳などを母が毎日寝床の近くへ置いて、なるべくおどかさないよう様子を見に行ってました。
怪我でも病気でもひたすら寝ていれば治るということを、動物は本能的にわかっているんですね。
食欲も旺盛になりました。」

3月の初旬にはこんな報告が来ました。

「とても不思議です。
あれからローズは、目つきもかわってきて、このごろとても穏やかな表情で過ごすようになってきました。どうしても手を出すことはできませんが、もう人に怯えたり逃げたりする事はありません。
本当にありがとうございました。ケガも、もうひといきです(^^)」
ちょうど2か月経った4月22日の朝の写真です。
ローズちゃん・Nさんのお世話してる子2.JPG

ローズちゃん、ご飯一杯食べて体力つけて春を迎えられたという事でしょう。良かったです。














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